「/05」坂本龍一

 今回は、坂本龍一の「/05」です。
 この、「/05」は、昨年出ました「/04」に続くこれまでの主な作品をピアノ中心にアレンジされた作品です。
 パーカッションなどの音も入っていますが、まあ、アンプラグドという感じでしょうか。
 坂本龍一の作品は、いろんな音色を組み合わせてできている作品が多いわけですが、それらの曲がピアノの音だけでこれだけの表現ができるのだなあと感心させられます。だから、ピアノという楽器が長年多くの人たちに好まれているんでしょうが…。
 坂本龍一の最初に発表したピアノ中心のまとまった演奏作品は、1983年6月にカセットブックとして出された「アベック・ピアノ」ではないかと思われます。これは、「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックをピアノで演奏したものでのちに「コーダー」としてレコード化されます。
 おそらく、「アベック・ピアノ」を出したのは婦人の矢野顕子(やのあきこ)の影響が大きいのではないかと思います。矢野顕子という人は非常にピアノにこだわる人で、一時は出前コンサートと称してピアノの置いてある会場であればどこでも行ってピアノだけのソロコンサートをするというものでした。それで坂本氏もピアノだけの作品をやってみたのだと推測します。ただ、作風があまりにも違うので最初はカセットテープでの発売になったのでしょうが、評判が良かったのでレコード化したのでしょう。

 私が坂本龍一を知ったのはYMOからです。YMOのコンセプトを少し書かせていただきます。細野晴臣(ほそのはるおみ)がクラフトワークなどに代表されるコンピュータとシンセサイザーを組み合わせた音楽を聞き、もちろん最新のテクノロジーにも興味があったのでしょうが、その中の東洋的なメロディーが妙に合っていることに着目したようです。細野氏自身のソロアルバムにも中国的なメロがありますのでおそらく食指が動いたのでしょう。
 それじゃ、東洋人が欧米人の好みそうな東洋的音楽をやってやろうじゃないかと、しかもコンピュータを利用して…と結成されたのがYMOです。で、「ファイアー・クラッカー」をレコーディングしたと聞いています。
 今回「/05」の最初の曲「Tibetan Dance」ですが、これは1984年に発表された「音楽図鑑」に納められている曲なのですが、これはまさにYMOのコンセプトの曲で、いやもう一ひねりしているかな?チベットのダンス音楽を欧米人が書くとしたらこんなもんじゃないかと東洋人がちょっと皮肉を込めて作ってみたという感じですね。
 「音楽図鑑」発売の頃に放送されたサウンドストリートの内容を記録したサイトがあるのですが、これによると「Tibetan Dance」に山下達郎が歌入れをしていると書かれています。この放送は、私もおそらく聞いているはずなのですが、このボーカルバージョンがあったことは全然覚えていません(汗)。
 ピアノバージョンの「Tibetan Dance」は聞いていて図鑑バージョンの何かをたたくような音を想像しながら聞いてしまいます(笑)。
 6曲目の「The Last Emperor」もYMO的コンセプト曲ですが、クラッシック的に録音されていたものなのでピアノにもよくあっています。

 「Happyend(ハッピーエンド)」この曲がこういう形で聞くことができるとは思いませんでした。元々はソロ作品として作成されましたが、細野氏の要望でYMOの「BGM」にダブミックスされて納められています。さらにYMOのツアーでは坂本氏がギターをこの曲で弾いています。基本は一つのメロディーの繰り返しでそれにいろいろな仕掛けを絡めていきます。何かと遊びやすい?作品なのでしょう。
 「Thousand Knives(千のナイフ)」も入っていますね。この曲も元々ソロ作でしたが、「BGM」に納められYMOのツアーで演奏されています。この曲は矢野顕子がサポートミュージシャンとして参加していた頃のツアーで演奏され途中後ろで「猫 踏んじゃった」に近いメロディーが流れていたのが何となく覚えているのですが、これはおそらく矢野さんが弾いていたのではないかと想像しています。アッ、このツアーは直接 見に行ったのではなく、後日NHK FMで放送されていたのを聞いて気付いたことです。今回は、「猫 踏んじゃった」はありませんでした(笑)。

 他にもコマーシャルで流れていた曲などいろいろあります。坂本氏も最近はブラジル音楽に興味を持ったり地雷除去運動に参加したりいろいろ精力的に活動しているようです。
 私は坂本氏からいろんな形での音楽の聞き方を教わったと思います。彼の作品は五線譜で計算して作るものと、衝動で作るものが入り交じりおもしろいです。次は、どんな作品が出てくるのでしょうね。

曲目
1.Tibetan Dance
2.A Flower Is Not A Flower
3.Amore
4.Energy Flow
5.Aqua
6.The Last Emperor
7.Happyend
8.Thousand Knives
9.Fountain
10.The Sheltering Sky
11.Lost Theme
12.Shining Boy & Little Randy
13.Reversing
14.Rainforest

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