「全日本フォークジャンボリー」

 1970年および71年の「全日本フォークジャンボリー」が2004年9月29日にベルウッドレコードよりそれぞれ2枚組で発売されました。
 私は70年のレコードを1枚持っていましたが、CDは以前に発売はされていたようなのですが気が付いた時は在庫切れで持っていませんでした。
 今回、偶然CDの発売を知り、早速注文しました。
 で、曲目リストを見て「アレッ?」と思いました。もちろん、私の持っているレコードよりは曲目の数も、アーティストの数も多いのですが、何かがたりない。
 「岡林が入っていないじゃないか!!」そうです、岡林信康の曲が入っていなかったのです。でも、その時は「きっと手違いでリストに書き忘れたのだろう」と、善意に解釈しました(笑)。
 実際CDが届いて聞いてみると本当に入っていませんでした。私の持っている70年のレコードには、「私達の望む物は」がはっぴいえんどをバックに歌っているのですが…。
 CDに付いてきたライナーには、岡林信康の曲は都合により収録されませんでしたと言うようなことが書いてありました。°いう訳かはわかりません。現在所属しているレコード会社との契約による物か、それとも岡林自身が収録を拒否したのか…。
 ただ、この時期の岡林信康は、フォークの神様とまで言われ、当人はそれを望んではいなかったようですが、当時の若者を代表する曲を書かなくてはならなくなり、その代表曲が「私達の望む物は」であったわけです。その後、岡林は農村に引きこもり世間から離れてしまうのですが。
 ただ、この状況を理解した上でも岡林ははずしてはいけないと私は思います。

 全日本フォークジャンボリーというのは、69年から71年の3回岐阜県でおこなわれた野外イベントです。通称「中津川」と言われていました。最近よくおこなわれている、フェスの先駆けみたいな物ですね。
 フォークシンガーが多く出演し、1年1年観客も増えていったようです。
 ベトナム戦争も泥沼化し、日本では全共闘運動と呼ばれる学生運動がおこなわれていた時期になります。
 フォークソングも、反戦歌などのメッセージ性の強い物が多くあります。
 このアルバムに入っている反戦歌の代表は、五つの赤い風船「血まみれの鳩」(70年)・加川良「教訓 I(教訓1)」(71年)でしょうか。
 「血まみれの鳩」は、今聞き返してみるのもいいかなと思います。
五つの赤い風船は、「遠い世界に」が入っていますね。これは、会場の人たちと一緒に歌うのですが、西岡たかしが先に歌詞を教えていきます。これがまた、別のメロディになっているのが、おもしろいですね。
 五つの赤い風船としては、70年の参加で、71年は西岡たかしがたしかアメリカへ行っていて、参加せず、メンバーの藤原秀子が「遠い世界に」を歌っているのが収録されています。

 加川良は、なんと当時は高田渡のマネージャーのようなことをしていたらしいです。飛び入りで「教訓 I」を歌ったらしいです。70年の「教訓」は収録されていませんが、71年の物が入っています。70年は「赤土の下で」が収録されています。この曲は、死んだ友達の葬式を出すのが貧乏暮らしの中でどれだけ大変かという内容の物です。野坂昭如の小説「エロ事師たち(えろごとしたち)」にも似たようなことがあったなと思い出しました。
 また、なぎらけんいちが71年に「教訓 II(教訓2)」という曲をやっていますが、これは「教訓 I」の替え歌でうまくできています。
 加川良は、高田渡と一緒にステージに立っていることが多いですね。これも、マネージャーをやっていたということもあるのでしょうか。71年では、高田渡の「自転車にのって」でギターとコーラスをしていますがこの時会場にいた吉田拓郎にやじられ高田渡にステージの上から「吉田拓郎うるさいぞ」と怒られています。おそらくお酒も入っていたと思うのですが、しつこく加川良に対してやじり続けているので何度も怒られていました(笑)。

 中津川では、吉田拓郎を忘れてはいけません。今回このアルバムの購入目的の一つがあの「人間なんて」を聞くことにあります。71年は、メインステージとサブステージがあったらしいのですが、サブの方で吉田拓郎は登場しました。ところが、PAの状態が悪かったらしく叫べる曲ということで「人間なんて」を2時間やったそうです。
これが評判を呼び、ステージに立つたびに「人間なんて」を求められたようです。私は、渋谷じゃんじゃんでのライブ版を持っているのですがこの時の「人間なんて」は最初から叫んでいるので中津川もそんな感じかと思っていたのですが、最初の「人間なんてララァラララララーラー」ノブ分を淡々とやっていたので拍子抜けしました。でも、メインの歌部分は叫んでいました。

 それと、はっぴいえんどがいいですね。特に71年の物はすごみがましています。70年と71年の「春よ来い(はるよこい)」を比べるとわかりますが、特に鈴木繁のギターがすごいです。鬼気迫る物があります。71年の「かくれんぼ」が終わった時にアンコールがかかります。この様子でも、かなりうけていることがわかります。

 すごいといえば、遠藤賢司もいいです。迫力ある「夜汽車のブルース」は知っていましたが、「満足出来るかな」も演奏しているとは思いませんでした。できたばかりと言っていますので、この後レコーディングされたのでしょうか。遠藤賢司を日本のニールヤングと評した人がいましたが、まさに今もテーマを持ち続け常に新しい物を求めての音楽活動は共通しているところがあると思います。

 私が知らないミュージシャンもたくさんはいっています。
 のこいのこと言う人は今回初めて聞きましたが、この参加者の中では歌がうますぎるなと思いました(笑)。ネットで検索してみると、今もまだ活躍しているようです(のこいのこさん失礼しました)。
 このアルバムは、複数で参加している場合ステージ上の立っている位置がわかります。たとえば、六文銭(ろくもんせん)は小室等(こむろひとし)が中央、及川恒平(おいかわこうへい)が左かななんて感じです。

他にもいろいろありますが、ポピュラーミュージックの歴史の一部として聞いてみてもおもしろいと思います。

1970年 全日本フォークジャンボリー
ディスク: 1
1.怪盗ゴールデン・バットのうた / なぎらけんいち
2.海の風 / バラーズ
3.ハナゲの伸長度に関する社会科学的考察 / ひがしのひとし
4.南京豆の唄 / アテンション・プリーズ
5.こもりうた / アテンション・プリーズ
6.ごあいさつ / 高田渡
7.銭がなけりゃ / 高田渡・岩井宏
8.赤土の下で / 高田渡・加川良
9.この世に住む家とてなく / 高田渡・加川良・岩井宏
10. 9月になれば / のこいのこ
11.あげます / のこいのこ
12.よせばやし / 田楽座
13.夜汽車のブルース / 遠藤賢司
14.満足出来るかな / 遠藤賢司
15.血まみれの鳩 / 五つの赤い風船
16.これが僕らの道なのか / 五つの赤い風船
17.遠い世界に / 五つの赤い風船
ディスク: 2
1.ジプシーの音楽 / チェコスロバキヤ・スルタ舞踏合唱団
2.追分 / 村岡実とニュー・デイメイション・グループ
3.ねえ踊ろうよ / 遠藤賢司
4.ああどうしたんだろう / 藤原豊
5.値上げ / 高田渡
6.悩み多き者よ / 斎藤哲夫
7.雨が空から降れば / 六文銭
8.賞状 / 六文銭
9.春よ来い / はっぴいえんど

1971年 全日本フォークジャンボリー
ディスク: 1
1.教訓 I / 加川良
2.遠い世界に / 藤原秀子
3.人間なんて / 吉田拓郎
4.雨が空から降れば / 六文銭
5.一人ぼっちのお祭り / 六文銭
6.面影橋 / 六文銭
7.こんなに遠くまで / のこいのこ
8.赤色エレジー / あがた森魚(あがたもりうお)
9.僕はいったい誰でしょう / 野沢淳司
10.秋田竹刀打ち唄 / 山平和彦
11.自転車にのって / 高田渡
12.紙芝居 / 岩井宏
ディスク: 2
1.教訓 II / なぎらけんいち
2.サラリーマンをバカにしてはだめよ / 岩井宏
3.カレーライス / 遠藤賢司
4.サーカスにはピエロが / ザ・ディラン II
5.かくれんぼ / はっぴいえんど
6.春よ来い / はっぴいえんど
7.もしも / 武蔵野タンポポ団
8.俺たちの時代 / 斎藤哲夫
9.俺とボビー・マギー / 中川五郎
10.お前と俺 / 加川良


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